すんげえものを読んだ。
怪異と戦う巨大感情! といった趣きの、たいへん熱くて切ないお話でした。またしても角刈りの文庫本を作ってしまった……。
いやあガガガ文庫すげえわ。書籍化するならガガガ文庫から本を出したい。ヤベェ本の仲間になりたい……。
大雑把に言うと、怪異と戦うのが仕事の女子高生にして鬼である撫子と、得体のしれない謎の美女アマナの巨大感情が怪異と戦うお話でした。そして怪異がどれも見事に恐ろしい。そして撫子は怪異を肉にしておいしくいただいてしまうのです。撫子はふつうの食べ物も好きですが、彼女にとって栄養になるのは怪異の肉だけなのです。だから魚型の怪異が出たときに、「あんきも」と言ったりする細かいところが大変かわいいです。
撫子とアマナの細かい会話がとても楽しくて、会話のシーンはニコニコしながら読めるのですが、怪異がことごとくヤベェのがいいと思います。そして京都ネタがふんだんに練り込まれているのも大変よいです。いや京ことばで話すキャラクターはほぼいないんですけど。
強いヒロインが大好きなわたくし、たいへんワクワクしながら読んでおりました。怪異と百合って相性がいいのかもしれません。「裏ピ」みたいに科学からアプローチしても、この作品のようにファンタジーからアプローチしても、強い女の百合は怪異と料理するといい塩梅の味付けになるようです。まあそこは作家の力が大きいのだと思うのですが、これほどのものをお出しされてしまうと「撫子ちゃんもアマナさんもかわいいねえ痛そうでかわいいねえ怖がっててかわいいねえ」になってしまう……。
なにより最後のほうの展開とラストが非常によいです。撫子の生い立ちのヤバさがすごい。そしてあのラストよ……尊いじゃないの……。主にアマナのほうから向けられる巨大感情と、それに対する撫子の巨大感情の激突、最高オブ最高でした。最後の1ページにいたるまで完璧。面白かったです。
そんでもってサブキャラたちもかわいいのです。冠さんの子煩悩ぶりとか四月一日さんの適当ぶりとか真神さんのスイーツ好きとか。全員激しくキャラクターが立っていて、誰かわからなくなることがないんですよ。すげー。
いやあ面白かった。ガガガ文庫は本当に面白い本を作るレーベルだ……この本を買ってきたのは実はツイッターで編集者さんがビスコの瘤久保先生の感想を載せてたからなんですけど、確かに瘤久保先生の感想にも納得の内容でした。満足!
ガガガ文庫のせいでふせんの消耗と本棚のスペース減少が激しいです。シリーズになるのかな。もっと撫子とアマナを読みたいなあ……。
面白かったです!