めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

魔女と猟犬5(カミツキレイニー著)の感想

 すんげえもんを読んだ……。

 表紙の魔女さんがそんなに邪悪に見えないので安心して読み始めたら冒頭から少女たちが死んだ魔術師を埋める、という激辛仕様で「あっ魔女と猟犬だ」となりましたです。いやあ全編ぶっ通しで激辛じゃった。ジャックが「お野菜の魔女」になりたがってたのとネルが相変わらず武闘派だったのが癒しでしたね……。

 ハルカリとネルとカプチノは海賊として表紙の魔女であるグリンダのところに向かい、ロロとテレサリサとジャックとヴィクトリアはオズ島の王家であるエメラルド家に向かってそれぞれお話が進行し、かなり長いグリンダの回想が入ったりしてちょっと複雑ではあるんですけど、グリンダの回想の魔法学校の話がとにかくおぞましい。

 ネルやハルカリのように後天的に魔力を取り入れて魔法使いになる……というのを、その魔法学校では九使徒パルミジャーノが実験としてやっていて、ふつうは一回やれば死ぬか魔法使いになるかできるんですけど、魔法使いになれた子供たちにも二度目三度目の実験を繰り返すわけです。おっそろしい……。

 そしてその回想ではモネという少し変わった女の子がほとんど主役なんですけど、最後まで読むと(文字通り最後までです)恐ろしいことが判明するので読みましょう。分厚くて物怖じしそうなボリュームですけどずっと読んでいてとにかくドキドキできて楽しい本です。

 このシリーズがはっきりと「つづく!」で終わるのは初めてのような気がするので(カプチノの近況で続きがあるよ、というのはありましたが)、これはもう確実に続きがあるんだ! とワクワクしています。なんせコミカライズもされた作品ですもんね。続きの表紙はあの魔女かな……と勝手に想像しています。

 オズ島、完全に「オズの魔法使い」がモチーフだって分かるんですけど、あの楽しい童話をこんな禍々しいお話にできるの???? ってくらい禍々しいお話でした。でも面白いんだよ……ページをめくる手が止まらないんだよ……なにこれ傑作……?

 よくある「現実の人間がファンタジー異世界にいく」というお話を、異世界の人間から見たらこうなるんだな……と思いました。現代知識で無双したらあかんのや……異世界のひと困っちゃうから……。

 いやあ面白かったです。続きがとても楽しみですが続きももれなく鈍器なんだろうなというような気がしています。とにかく面白いから読もう。一巻から順に読もう。まあこのシリーズ一巻からぜんぶ激辛なんですけどね。激辛麻婆豆腐だと思って読めばヒリヒリも楽しめるというか……。

 面白かったです、オススメです!