めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

裏世界ピクニック7 月の葬送(宮澤伊織著)の感想

 恐ろしいものを読んだぞ。

 相変わらずおぞましさフルスロットルでありヤベェ百合密度。公式のあらすじの「情緒曼荼羅サバイバル!」というのにわかりみしかない。

 これ、昨晩10時半に読み終えたんですけど、いや終盤の怒涛の恐怖展開、布団の中でうっかり思い出して想像して「ひいいい」ってなって朝までグッスリでした。夢に出てこなくてよかった~!

 鳥子ちゃんのかつての家庭教師・閏間冴月を、葬式をすることによって消滅させよう、ってお話なんですけど、その葬式の内容がすさまじくてですね。裏世界に到着したら葬儀会場への案内板が立ってるとか裏世界優しすぎる(まったく優しくないですが)やつでした。

 で、かつてヤバい宗教を率いていた潤巳るなを動員して冴月を葬り去るわけですが、るなを連れ出すために反社勢力の人のやり方を使うのがなかなかヒィってなるやつでした。兄弟とか親分子分のシステムですね。まあそれしかるなを抑え込む方法はないのですが。

 最後の冴月の葬式シーンはまさにホラーそのものでした。こわ……。まあそのあたりはぜひ読んでほしい、読んで新鮮な悲鳴をあげてほしい。

 

 で、今回は百合成分がめっちゃくちゃ濃いんですよ、いや鳥子ちゃんも空魚ちゃんもめちゃめちゃに重たい感情ぶつけあってるね?! という感じ。

 鳥子ちゃんが空魚ちゃんのドッペルゲンガーと添い寝しちゃうくだり、終盤の伏線になっててホラーなのにちょっと笑いました。

 あと小桜さんのセリフがめちゃめちゃいいんですよ。冴月とかつて仲間だったから持てる視点だなあと思います。あと冴月の葬式(要するに裏世界で冴月の存在を消滅させるってことです)のとき一人だけフォーマルな喪服を着てきたのが小桜さんなんですよね。そこに横たわる感情よ……。

 

 謎の少女・霞を小桜さんが引き取ろうと決めるシーンがすごく印象的でした。あと汀さんやっぱりいろいろ闇なことを知っておられる。そして茜理と夏妃の関係もなかなかいい。夏妃、茜理が犯罪みたいなのに巻き込まれてないかめっちゃ心配してるのよい。空魚ちゃんと鳥子ちゃんの関係はシリーズ最初から激重ですけど茜理と夏妃もなかなかに重い関係ですね。

 

 とにかくすごく面白かったです、百合要素濃いめホラー成分濃い目という感じで、いままでのシリーズとはちょっと雰囲気が違う感じでした。いままではどっちかっていうと冒険! 怪異! 打ち上げ! みたいな印象だったので……。

 怪異を分析して対処法を考える、というの、すごくいいアイディアだと思います。書いた人は天才か。SFというジャンルは「書いた人天才かよ」と思わされるのが楽しいジャンルですね。

 

 面白かったです、オススメです!