たのしい本を読んだ。
尊敬してやまないりょくち先生の最新作は算数でした。小説だけでなく算数というより知恵試しのクイズに近いんですけど、「ううん? ……わかんね」となる問題がいろいろと載っております。
わたくし金澤、小学校は算数さえなければ全科目余裕で100点を取れる成績だったので、逆に言えば算数及び数学はとにかく苦手だったのですが、この児童書の問題はなんというかとてもいい塩梅に頭を使う感じでした。いや全問「ううん? ……わかんね」だったんですけど。
舞台は算数バトルでポイントが増減し、そのポイントのランキングで地位が決まるというわたしとしては悪夢のような「数知学園」という、エリートしか入れない小学校です。主人公の亡くなった父親はそのバトルの仕組みを開発したのですが、生徒会が勝手にランク外になったひとを使いっ走りにするルールに変更してしまいます。主人公、誠志郎はそのルールを父親の望んだものに変えたいと、目立ちたくないので先生に指されても「わかりません」としか答えない天才少女・天音とてっぺんを目指します。
人間の醜い本質が子供さんでも怖くない程度に描かれていて、誠志郎は上位7位である進藤先輩が悪意に満ちた行動をとるのをきっぱりと拒絶しバトルする……というのがクライマックスでしょうか。いやあ続きが読みたい。すごくいいところで終わってるんですよ、生徒会長と戦うところが読みたい。
個人的に石とりゲームのくだりは「され竜と藤井聡太のインタヴューでみたやつだ!」となりながら読みましたし、ペットボトル二本で400ml測る問題は「正解そんな簡単なの?!」となりました。いやあ面白かったです。
相変わらず算数は不得手なままなのですが、凝り固まった頭の大人だからわからなかっただけで、本職の小学生さんなら楽しく考えられるのではないでしょうか。
あと天音ちゃんが目立たないように頑張る理由が天才の苦悩を感じます。勉強は楽しくなきゃいけないですよね。
本当に続きが気になるのでみんな買って読んでくれ、りょくち先生に続刊を書かせねばならん。知恵試しにピッタリの問題がいっぱいで楽しいしなによりストーリーが面白いんだ。誠志郎が目指すところに着地できるのか大変気になっております。
算数とか数学ってだいぶ才能による分野で、わたしには悲しいことにその才能がないんですけど、面白い問題を考えてウンウンいうのは楽しいというのは知っています。小学校のころに「中学受験のない秋田県の小学生に算数の良問を」というコンセプトの問題集を買えるという案内が来たのですが、もしかしたらその問題集にこの本みたいな問題が載っていたのかもしれません。当時は「田舎だからってバカにすんな」と思っていたのですが。
考えるのは楽しいというのがよく分かる本でした。面白かったです、オススメです!