めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

大奥の陰陽師(つるみ犬丸著)の感想

 とても面白い本を読みました。

 作者買いしているつるみ犬丸先生の最新刊です。まさかのファンタジーに路線変更?! と思ったらファンタジーというより探偵ものって感じのお話でした。

 表紙のイケメンこと式神の葛忌の能力はモノに付着した思いを感知することと人間の体に入ってとんでもないパワーで動かすことです。バトルとかはしません。主人公の雲雀ちゃんもバトルとかはしません。大奥で起こった怪異、いや怪異に見せかけた人間の起こした事件を解決していくお話です。

 雲雀ちゃんは上様こと将軍吉宗公の大ファンで、それについて序盤に出てくるレトリックが江戸っ子でありながら現代なのがすげえと思いました。他にも江戸っ子でありながら現代なレトリックがいっぱい出てきて、とても興味深いです。レトリックがどれも本当によくてふせんだらけにしてしまいました。

 あと葛忌が意地悪な性格なのに雲雀ちゃんが大好きなのがよいです。大好きというか運命共同体なんですよ。こういうバディものはやっぱりいいですね。普段は反発しあうけどいざという時はしっかり協力するのはたいへんいいなあと思います。

 大奥の仕組みについてもめちゃめちゃ丁寧に調べてあって、最後の参考文献のページに並んでいる本の多さに「すげえ」となります。調べ物はリアリティを呼ぶんですね。すごいとしか言いようがない。

 怪異に見せかけた事件を雲雀ちゃんが推理する様子とか、敵が雲雀ちゃんを策にはめるやり方とかがすごくなんというか頭のいい展開で、なるほどなあと思いながら読んだです。つるみ先生はんぱねー。とてもとても十年くらい前にツイッターでアホなことを言って盛り上がっていたワナビ仲間の一人だとは思えないです(失礼な言い方)。

 笑えるシーンもシリアスなシーンも回想シーンもどれもばちっとしていて、めちゃめちゃ面白かったっす。なにを言ってもネタバレになるのがもどかしい。レトリックひとつ、シーンひとつブログに書くのももったいないほど隅から隅まで面白かったです。

 これ、テレビ時代劇にしたら面白いと思うんですよ。表紙の雲雀ちゃんは髪をおろしてますけど、ぜひ日本髪の女の子が大奥の仲間たちを占ったりするのが観たいです。えねっちけーさんそこんとこオナシャス……こういうライトな時代劇、若い層にもウケると思うんですよね。

 つるみ先生は歴史が本当に好きなんだなあと思いましたです。「おにぎり所のごちそう三角2」のあとがきで路線変更するとあったので、てっきりバチバチの犯罪小説でも書かれるのかなと思っていたんですけど、予想外の方向に路線変更してビックリしました。そしてそれが間違いなく面白いんだからすごい。

 続き出るのかな。分からないですけどもっと雲雀ちゃんと葛忌の活躍が読みたいです。面白かったです、オススメです!