めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

公務員、中田忍の悪徳4(立川浦々著)の感想

 すごい本を読んだ。

 なんだかすごいお話でした。表紙が一ノ瀬さんだ!

 相変わらずすごく読みやすくて分かりやすい文章で、さらさら読めて楽しかったです。今回も中田忍の斜め上の思考回路とかわいいアリエルちゃんが素晴らしいです。でも最後のほうのアリエルちゃんが「これフラグ……?」となる台詞回しで、大変ドキドキしました。続刊はまだか。(まだです)

 3巻のラストで起こったことの具体的な理由はわからないんですが、しかしその出来事をみんなで認識して悩むのが面白いです。そしてその出来事の犯人(?)についての名前を考えるくだりが大変面白い。重いテーマですけど基本的にラノベなので、明るい調子で読み進めていける本です。

 あと中田忍の仕事始めの様子が結構具体的に描かれていて、調べるの大変だったんだろうなあ、と思いました。本の最後に中田忍の仕事についての「これはフィクションです」の丁寧なやつが書かれていて「信頼できるやつだ……」と思いましたです。

 口絵のアリエルちゃんや文中のアリエルちゃんがさよならの雰囲気を醸しているので、これで終わっちゃうのかなと思ってしまいましたが、見事に騙されました。アリエルちゃん、まさかそんなことまでできるとは。

 アリエルちゃんがすごい必殺技を繰り出そうとするシーンはすっごい笑いました。アリエルちゃんもすごいけどそのきっかけの屛風、誰が飾ってたんでしょうか。

 あと一ノ瀬さんと中田忍の関係がめちゃめちゃよいですね……中田忍が追い詰められていくのをみるのはハラハラするんですけど、中田忍が出す結論が大変いいです。このお話は「異世界エルフをどうするか」という衣でくるんだ中田忍の成長物語という一種の天ぷらだと思えばよいのでしょうか。中田忍、1巻からじわじわと成長していくのが面白いです。もはや1巻の、アリエルちゃんを冷凍して南極に廃棄しようと思う中田忍じゃないんですよ。周りに助けてもらって成長する中田忍、たいへんよきです。

 あと環ちゃんがちゃんと子どもとして描かれているのが大変よいと思います。女子高生って子どもなんですよね。女子高生ってどうもライトノベルでは成熟したものとして書かれがちですけど、この作品では保護されるべき対象として描かれているので、なんだか安心感があります。

 とにかく今回も中田忍は中田忍でありながら中田忍なりに成長していき、アリエルちゃんのことで悩み、苦しむのが大変面白かったです。どういう着地点にたどり着くのか大変楽しみです。

 面白かったです、オススメです!