めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

隷王戦記2 カイクバードの裁定(森山光太郎著)の感想

 すっげー面白い本を読みました。

 1巻もすごかったけどそれを遥かに上回る傑作でした。最初から最後までぎっしり戦記です。これはすごい。

 

 一巻でただの軍人奴隷だったカイエンの成長がすごいです。《背教者》の力を手に入れて騎士になり、しかし前途多難であるというカイエンにまったく優しくない展開!!

 力を使うには血が必要という、カイエンが使ってみて理解したという印象の情報開示がよいです。エフテラームさんもラージンさんもそんな苦しみながら力使ってたのか……としみじみ。

 あとマイちゃんが太守として辛い決断をしていく様が凄まじい。マイちゃん、愛されるだけの太守じゃなくて、十代の少女だというのに戦いを決意したりするのがすごくよくて。カイエンとマイちゃんには幸せな人生を送ってほしいと思うのですが、文中になにか悪いことのフラグが立ったと思われる不穏な地の文がありまして、いや待って……カイエンとマイちゃん幸せになって……心がついていかない……てなりました。

 相変わらずバイリークとサンジャルがかわいいですし、再登場したタメルランが少年から青年になっていて親戚のおばちゃんみたいに「まあまああらあら大きくなったわねえ」と思うなどしました。まあ成長するまでの過程がなかなかの地獄なんですけど……。

 

 物語が進むにつれて世界の解像度が上がっていくのがすごいです。戦いは物語世界の広い地域に広がってきて、アルディエルたちの様子がわかったりする(もちろんカイエンたちは知らないのですが)のに痺れました。そして新しいキャラクターが過不足なく登場して、ストーリーが大きく広がっていく。3巻が楽しみなんですがお話終わっちゃう……。ここは一つ、マイちゃんとカイエンのデートをこっそり尾行するバイリークとサンジャルみたいなスピンオフをやってほしい……というか薄い本作りたいまである……。

 カイエン、読めば読むほど大好きなキャラクターなんですよね。1巻では「暗そうな主人公だなあ」と思っていたのですが、2巻でめちゃくちゃ好きなキャラクターになりました。なんというか……黄金の太陽のガルシア兄さんみがあって……(伝わる層の限られる比喩)。

 

 あとこの本表紙絵がバチバチに美しいんですよね。キャラクターの顔がいい!!(限界)3巻はどんな表紙なんだろう。

 

 物語はエルジャムカや西方世界との戦いに突き進んでいくんでしょうか。3巻を楽しみに待とうと思います。

 

 あとこれも買ったんですよ。

 家に零號琴があっていつでも読める幸せよ……解説を読んだのですが「やっぱり零號琴やばい……」と思いますよね。零號琴と錆喰いビスコの感想書きたくてこのブログ始めたわけですし。

 

脱線しましたが隷王戦記2巻めちゃめちゃ面白かったです。みんな読んで……。