めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

三体X 観想之宙(宝樹著)の感想

 やべえ本読んじゃった。

 公式スピンオフという名の限界オタクの産物、三体本編への巨大感情といったところですかね。すごく面白かったです。なんていうか、「二次創作をネットにUPしたらバズって原作者公認で書籍化されたンゴ」という奇跡の書物なんですけど、とにかくひたすら三体が好きでないと書けないやつでした。

 原作が傑作なんで二次創作は果たしてと思ったんですけど、ただの二次創作のレベルじゃないというか、二次創作でこんなすごいの書けるんだ……という感じです。どう考えても「面白くて好きなので続き書いてみました!」っていう内容じゃないんですけど、でも「面白くて好きなので続き書いてみました!」以上のなにものでもねぇんですわ。あのキャラクターの過去が、あのキャラクターの描かれなかったシーンが、あのキャラクターの未来が……という感じです。

 雲天明さんが主人公なんですけど、原作の終わったところからスタートしてあのラストに帰結するってすごくないですか。すごいんですよ。AAちゃんとか智子とか程心さんとかがちゃんと原作と同じノリで出てきます。あと原作読んだときには「?」だった「歌い手」のエピソードが理解しやすく出てくるのすごくありがたやです。

 あと興味深いのは聖書の引用がちょいちょい出てくるところですかね。聖書、中国だと持ってるとまずいんじゃなかったでしたっけ。国外にいるのかもしれませんが。

 それにしてもいやあ面白かったです。めちゃめちゃ面白くてめちゃめちゃ分厚い同人誌って感じでした。ありがとう早川書房、ありがとう三体。

 以前、知り合いに「三体っていう中国のめちゃめちゃ面白い小説があるんですよ」って勧めたら「えーでも中国の言論統制の下で書かれたやつでしょ、中国の思想で書かれたもの読みたいと思わない」って言われて落ち込んでたんですけど、仲間がいました。はじめまして宝樹サン、お宅のファンフィクション最高ですね! ……といった感じです。

 とにかく三体三部作を読み終えたあとに読むなら最高のやつです。訳者あとがきに「二次創作ゆえの書きすぎ」の話がありましたが、ぜんぜん気にならなかったっす。

 みんな、三体を一巻からぜんぶ読もう。そして三体Xを読もう。それは有益な時間とお金の使い方だぞ。みんなだいすきダーシーさんもちらっと出てくるよ!

 

 実を言うと結構積み本の山ができております。ツイッターで話題になっていてつい愛蔵版を全巻ポチってしまった「動物のお医者さん」の後半3冊や、カクヨムうまい棒で買ったドラえもん+の5巻と6巻がどっさり積まれておりまして、おそらく今週中に中田忍の4巻も本屋さんに入るんですよね。わくわく。しかもまだアマゾンに千円分ポイントあるんですよ。何買おうかな。

 それはともかく、三体X、めちゃめちゃに面白いです。おすすめです。