いやはや実に面白かった。
りょくち先生の最新作、なんと信長公が登場しません(そこか)! すべての物事は科学でわかる! という楽しいお話でした。
主人公のリクトくんは理科の時間以外寝ている科学少年です。物語は旧校舎に肝試しにきたクラスメイトから猫の親子を守るために、リクトくんがマジックミラーを応用して追い返すところから始まります。
リクトくんはお父さんがでんじろう先生的な職業なのと、昔火の玉にびっくりして目の前の女の子を助けられなかったことで、なんでも分からないことは原理を知りたい、学びたいと思う子なのです。いいですね科学少年……。
そしてその相棒になるアカネちゃんは、怖いことに遭遇すると目が灰色になる体質の子で、リクトくんはもちろんその原理を知りたがるわけなのですが、そこはわからないわけです。それはさておき。
旧校舎に肝試しにきたクラスメイトが、死神を見たのがきっかけで学校を休んでしまい、リクトくんとアカネちゃんは調査を始めます。
この本、科学の部分が図解されていて、なるほどこんなトリックがあるのか……と、いい大人のわたしもしみじみ思いました。
なにより安心できるのはリクトくんのお父さんが、「なによりも怖いのは人間」と言ってくれることです。死神の謎を暴き正体を知ったリクトくんとアカネちゃんがそれをどうにかしようとするのをリクトくんのお父さんが止めようとしてくれるのも安心感があります。
リクトくんとアカネちゃんが対決する相手は、もちろん人間なのですが、しかしなかなかの強敵です。しかもめちゃめちゃ悪いやつ。小学生が立ち向かうには強すぎる敵です。それで大ピンチになったりもします。とにかくそのあたりは読んでほしい……。
もちろんそんな無茶をする二人をリクトくんのお父さんは叱るわけですが、その一方でリクトくんの用意した仕掛けがうまく行ったか聞いてくるのも、ああこの人も科学が大好きなんだな……と思います。リクトくんとアカネちゃんが「反省しない反省会」を開催するくだりもいいです。それでいいのだ。
理由を知ることで怖くなくなる、というのはとてもリアルな話だと思います。怖いことは世の中にいっぱいありますが理由が分かれば怖くなくなる。そしてそれをきっかけにさらに学びを深められるわけで。
あと最後に「よい子はマネしないでね!」的なのが入ってるのも信頼感があります。
とにかくとても面白かったです。オススメです!続刊あるといいなあ。