めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

裏世界ピクニック4 裏世界夜行(宮澤伊織著)の感想

はい。

裏世界ピクニック4 裏世界夜行 (ハヤカワ文庫JA)

裏世界ピクニック4 裏世界夜行 (ハヤカワ文庫JA)

 

すごくすごく面白かったです、ツイッターできょう(12/24)のうちに読むべきというツイートが流れてきたので頑張って読んだのですが大正解オブ大正解でした。クリスマスだってのに読書かいという野暮なことは言うたらあかん。

「くだん」というものを、ご存知でしょうか。人の顔をした牛の化け物ですね。そいつがはちゃめちゃに怖いのです。空魚ちゃんの個人情報バンバン晒してくる。こわい。

空魚ちゃんの過去のことが語られる本なのですが、空魚ちゃんのやばすぎる過去がやばすぎてですね。終盤にすごくゾワッとするシーンがあって、何これやばい、と思いました。

空魚ちゃん、子供のころに母親を亡くして、その後父親と祖母がカルトにハマってしまう……という過去を持っていて、それゆえにもし母親が生きていて普通に育っていたら?というifが出てきます。でももし仮にそうなっていたら、空魚ちゃんは鳥子ちゃんと出会わなかったわけで。

鳥子ちゃんの愛がものすごい質量で物理的に迫ってくる超☆百合展開もやばいです。温泉とか冬のキャンプとか、ラブホ女子会(ではないと思う)とか。

鳥子ちゃんは空魚ちゃんが大好きだし空魚ちゃんは裏世界を二人だけの秘密にしたいし、なんだこの二人尊みがすぎるだろう……。

で、その尊い百合と同じくらいホラー要素がやばいです。怖いとかそういう話じゃない。異常な世界である裏世界が、空魚ちゃんにぴったりくっついてくる……。

鳥子ちゃんの過激な感情とはまた別に、空魚ちゃんにまつわるエピソードの不安さがすごくて、空魚ちゃんが裏世界があればお金も稼げるわけだし大学をやめてしまおうか、と思うのも怖い。そこを引き止める小桜ちゃん流石の大人の対応だなあと。作中でも語られることですが、もし空魚ちゃんが大学をやめて、裏世界の探索で食べていくことにしたら、空魚ちゃんは容易く狂わされてしまうのでしょうね……。

あと冬の裏世界でキャンプすると言ったときの小桜ちゃんの反応に笑いました。「秋田人とカナダ人が揃って雪で遭難したらめちゃめちゃ馬鹿にしてやるからな」っていう煽り方w秋田県人のわたくし、しみじみと笑いましたw

いや秋田県人でも雪の中キャンプしないから……空魚ちゃんてどの辺で採れたんでしょうか。雄物川流域かはたまた米代川流域か。気になる。

最後のプレゼントのシーン、すごく良かったんですよね。二人はかけがえのない相棒なんですよ。愛ですよね……。

古い言い方で言う「萌え」なんでしょうけど、この二人の関係性実にいい。百合といってもいろんなパターンがあるなあ。

なんというか、女、という生み出すもの同士の関係、というのはSFと親和性があるのかもしれません。

 

それから!!!

裏世界ピクニックの推しである汀さんが!!

挿絵になってた!!

イメージとちょっと違ったすらっとして長髪の怖いお兄さん。すごく素敵でした。もっとこう……いかつくて男臭いのを想像してたんですが、中性的で爬虫類的なのもめっちゃいい。汀さん好きだ。

あと私立軍隊的なのが出てきたときもワクワクしました。ホント武器大好きだなわたし。

 

とにかく裏世界ピクニック4巻最高でした。百合成分がきついので苦手な人もいるかもしれないですが、とても面白かったです。裏世界ピクニックを積んでるクリぼっちの人がいたら今日中に読むことをお勧めします。でも怖すぎるシーンが連発するので深夜は避けたほうがいいかも……。

 

次は何を読もうかな。