めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

信長とぼくと戦国大運動会(りょくち真太著)の感想

 とても熱い本を読みました。

 青い鳥文庫の本を買うのは中学に入学したとき朝読書用に三国志を買って以来です(なお三国志はよく分からなかったです……)。まさか大人になってから大好きな作家さんの本が出るとは。

 

 ざっくり言うと「地獄が現世に拡大するために戦争がわりの運動会を始めて現世代表に小学生ふたりが選ばれて武将たちと運動会することになりました」というお話です。ノリはりょくち真太先生の名作・戦国ベースボールに近いのですが、雰囲気がずいぶんとくだけていて、野球みたいにルールがわからないと難しいスポーツでなく小学生にもおなじみの運動会の競技で武将たちと対決することになります。

 出てくる武将がみんな変で面白いです。伊達政宗はしょっちゅう白装束で現れるし、石田三成はサラリーマンスタイル。真田兄弟は敵味方なのにめちゃめちゃ仲良し。てゆかイラストの武将たちのクセ強めビジュアル、なんて言って発注したんだろう……特に伊達政宗が気になります。キムタク……?

 主人公は森史郎くんという陸上クラブのキャプテンを務める小学6年生で、先生にクラブの記録会の成績がよくなかったことについて叱られて、友達の春子ちゃん(通称ハル)としょんぼりしながら帰る途中で地獄に拉致されます。このお話のキモは「キャプテンとはなにか」というところです。

 歴史についての解説は天国の森蘭丸が子孫の史郎くんに流し込んできます。歴史ネタがいちいち面白いです。姉川とか干し柿とか。

 最初のほうの信長のポンコツぶりがすごくてですね、大丈夫かこの信長……?と思ってしまうのですが、まさかのラストに繋がるのです。キャプテンの資質についてしっかり教えてくれる信長、優しいなあと思います。

 最後の競技の騎馬戦で鬼が馬役になるののコントローラーが角というのはかなり笑いました。表紙のイラストですね。あとハルちゃんの亡くなったおばあちゃんが地獄のスタジアムで売り子やってるっていうのめちゃめちゃ面白い設定かつ主人公たちが地獄にきたことを端的に示していて「すげえなあ……」と思いました。

 歴史には知恵が詰まっていて、それをうまく取り入れて戦う史郎くんたちがすごくいいです。すごく面白い本を読んだ……としみじみ思いました。

 

 ちなみにこの本、いつもの書店になくて書店店頭の検索機から注文したのですが、到着メールの届いた次の日書店に行って店員さんにお願いしたら、「到着のメールって届いてます?」と聞かれて(ああ……手間取らせてしまった。次から書籍取り寄せのアプリ使おう)と思って、よく聞く有名なアプリを見てみたらわたしの住むド田舎にはない、都会にあるスゴイ本屋(田舎者の偏見)でしか使えないようでめちゃめちゃガッカリするなどしました。

 

 それはさておきとても面白かったです。続き出るかな。幕末編とかやってもおもしろそう。

 それからツイッターでりょくち真太先生がつるみ犬丸名義のほうの「おにぎり処のごちそう三角」の続刊が出るという話をツイートされていたので、楽しみに待とうと思います。

 

「信長とぼくと戦国大運動会」、とても面白かったです。オススメです。