めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

大絶滅恐竜タイムウォーズ(草野原々著)の感想

ものすごいものを読んだ。

大絶滅恐竜タイムウォーズ (ハヤカワ文庫JA)

大絶滅恐竜タイムウォーズ (ハヤカワ文庫JA)

 

凄まじすぎて感想を書かずにはいられない……なにこれ……。

とりあえずひとつ言っておきたいのは表紙の可愛い女子高生たちは詐欺だということです(盛大に褒めてる)。前作「大進化どうぶつデスゲーム」では女子高生たちが女子高生らしくさまざまな関係性を生きてたんですけど、今回は路線で言うと「これは学園ラブコメです。」に近いと思います。

女子高生たちは今回「大進化どうぶつデスゲーム」を読んで、それぞれのキャラクターを演じている……というハチャメチャな設定でして、しかも前作あれだけ涙ちょちょぎれる陽美ちゃんの犠牲が描かれたというのに今回はみんなサクサクっと死にます。「いやサクッと死にすぎだろ?!?!サラダせんべいかよ!!」という感じ。

いや、キャラクターはとりあえずお話の中ではそれほど重要じゃないのです。何故なら女子高生たちは前作を読んで自分の生活や交友関係を確認してるわけで、いかようにも置き換えられるというか、とにかくキャラクターがストーリーの原動力というより空中殺法みたいなストーリーにキャラクターが振り回されている感じです。

女子高生がヤモリみたいに進化して塔を登るとか、宇宙からワニが攻めてくるとか、カオスもほどほどにしろという感じです。前作はまだカオスじゃなかったのかとショックを受けました……。

時間を自在に移動して、何故か2020東京オリンピックが出てくるとか、衝撃の展開すぎて読みながら「はあ?!?!」ってなってました(盛大に褒めてる)。

あといちいち出てくるパワーワードな……カオス極まりない……そして進化した恐竜(鳥)についての詳細すぎる説明。変なところが細かすぎる……。

 

とにかくこの衝撃は読んでみないとわからないのではないでしょうか。ぜひ読んでほしい、そして「はあ?!?!」とキレ散らかしてほしい(盛大に褒めてる)。

あとツッコミどころはちゃんと太字になっているので安心して読めるね!(なんのフォローにもなっていない)。

というかこれって超実験作なのではないでしょうか。こんな小説初めて読んだ、という感想がいちばん大きい。

カオスでありながら理路整然としているのがいかにもSFですよね。ちなみに今回もシグナ・リアは出てきますがそれほどムカつかないかな……今回は全キャラクターの主張がストーリーに呑まれてる感じです。

 

この作品、解説がついているのですが、その解説がとにかくわかりみが深い。これもう文芸じゃないすよ。カオスの世界すよ……。

筒井康隆御大がかつて「賞は小説と呼べるものに与えたい」と言われてビッグタイトルを逃したという逸話がありますけど、果たしてこの「大絶滅恐竜タイムウォーズ」は小説なんでしょうか。女子高生たちの感情の描写はすごく希薄ですし、ストーリーも予想外の展開の連続(だいぶマイルドな表現)で、まともな小説として読むとかなり「はあ?!?!」なんですけど、繰り出されるパワーワード、たたみかける超展開、それらがとにかく凄まじい圧で、読むのを止められないというすごい作品でした。

読まなきゃ分からないですよこれは。こんなブログ読んでる場合じゃないです。「大絶滅恐竜タイムウォーズ」を読むべきです。

ただ読む人を選ぶものではあるかなと付け加えておきます。表紙のような女子高生の楽しいイチャイチャを期待したらアカン。こいつらシロアリ食べますからね……。

 

てなわけで大変よい読書でござんした。まだ頭の中がグルグルしている……。

 

次は何を読もうかな〜。