「ライトじゃないノベルを読もう月間」です。またヤバいものを読んでしまった……
なにがどうヤバいかというと降り注ぐギャグのセンスがヤバい。エロのセンスがヤバい。
短編集なので気に入った話の感想を書こうと思います。
・辺境の寝床
落語の「寝床」のSF版……と言っても通じるだろうか……。
ごく短い短編なんですけど、「寝床」のSF版でありながらジャイアンリサイタルの雰囲気もあってとにかくおかしい。宇宙人の目的……。
どうすればこういう発想が出てくるんだろう。天才の脳みそは謎だらけだ……。
すごいのは小松左京という作家はシリアスとギャグで振り切れてるとこなんですよね。半端に笑えるとか半端に怖いとかそういうことがない。ギャグに徹するならギャグを、シリアスに徹するならシリアスを。パねえ〜。
たとえば明日泥棒とかがギャグで虚無回廊とかがシリアスですかね。落差やべえ〜。
この短編集に収録されているのはほぼギャグみのある作品で、笑いながら考えるような感じです。
・時間エージェント
表題作で連作短編です。
ひょんなことから時間エージェントになった男の話で、歴史版007みたいな感じなのですが、このエージェント隙あらば上司のマリとエロいことしてるんですよね。007も隙あらばお色気展開するのでお約束なのでしょうか。
歴史を改変しようとする輩と戦ったり第三次世界大戦を防いだり、まあハチャメチャなんですけど、一番好きなのはジンギス汗と義経のやつです。次々と集められるジンギス汗にちょうどよさそうな人たちのチョイスがおかしいw
ナポレオンとかヒトラーとか豊臣秀頼とか織田信長とか、ちょうどよさそうな人が全然ちょうどよくないwナポレオンとヒトラーの喧嘩とかおかしすぎるw
次に好きなのは邪馬台国のやつです。卑弥呼がケメ子になってしまうw
平成生まれゆえケメ子の元ネタは知らないんですが、よく昔の漫画に出てくる名前とは把握しているので、ケメ子って出てきた瞬間笑いを堪えましたw
当時の流行とか分からないこともあるんですけど(なんせ初版が昭和50年、裏表紙に書かれた値段が240円なので)、とても笑える作品だと思います。
ハチャメチャなギャグですが歴史の考証とか科学の考証とかすごいんですよ。あ、首相が誘拐される事件もメチャクチャで面白いです。
・愛の空間
愛というかエロスでは……。
ひたすらエロいシーンが続くのですが(この短編集の傾向でもあるのですが)、なんでもエロい目で見ればなんでもエロになるのだなあと遠い目になるやつです。
腐女子が見ればなんでもBLになるのと同じ理屈なのですけど、それを見事に小説にしたという半端ない作品です。
だって布団が「入って……」って言うんですよ。何を見てもエロに見えるんですよ、なにこれ(褒めてる)。
想像力ヤバすぎではないですか???小松左京ってもしかして天才???いや天才なんだよ……。
なんでこういうものを思いつくのでしょうか。天才って怖い。
この短編集はギャグの強いものがほとんどで、どれもすごく面白いです。
部屋の本棚に父か伯父の蔵書として入っていて、ずっと読みたいと思っていたので読めて良かったです。
これはどれも間違いなく傑作です。わたしのようなシロウトはギャグにシリアスを混ぜたりシリアスにギャグを混ぜたりしがちですが、どちらか一方に振り切れた作品を書くのは難しいです。
やっぱり小松左京ヤベえ。天才こわい。
さて、次はなんの感想になるかなあ。
担当編集さんに勧められた金魚姫も読みたいし他にも読みたい本が大渋滞しておる。
あとなつぞらもめちゃんこ面白いです。三代目カポネw
それではまた。