めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

三体Ⅲ 死神永生(劉慈欣著)の感想(ネタバレあります)

 やべえものを読み終えてしまった。

 やばかった……本当にすごかった……。これが人間の脳みそから出てきたものだと思うと、人間の可能性無限大だなと思います……。

 

 まずは主人公が常に歴史の転換点を観られる構成がすごいです。冷凍睡眠って便利ね……と思うのですが、便利なだけに感じない使い方がいいです。主人公が自分から未来を見たくて使う、という理由があるからでしょうか。

 上巻で人間の脳を三体世界に送る!ってなったときの経緯がいいです。愛情ってなんなんだろう……というのを下巻ラストで回収してくるのはなかなか痺れます。

 なんかもう「だ、脱水?!」とか「め、面壁者?!」とかいちいち驚いてたのがアホらしく感じる展開でした。だって宇宙が二次元になっちゃうのから光速の宇宙船で逃げるとかわけわからんじゃないですか。宇宙との戦い方をおとぎ話で伝えるとかどんだけ考えればできるんですか。なんだこれは……。

 とにかく宇宙やべえの一言に尽きます。光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」(最初に読んだのは萩尾望都のコミカライズ版なのですが)みたいな、あるいは小松左京の「虚無回廊」みたいな、すさまじい大きさの宇宙が描かれていて、すごくワクワクしました。なんていうかアクエリオンの主題歌を思い出す愛の物語です。

 あと智子(ソフォン)が「智子(ともこ)」として出てくるんですが、そのキャラクターもとてもいいです。あとダーシーさんは出てきませんでした。何百年も経ってたら当然か。

 分厚い上下巻の単行本でこれ読める??と思ったのですが、しかし驚くほど読ませるお話でした。完全に夢中になりながら読んで、ラストの展開には泣きそうになるなどしました。

 奇妙なフルダイブゲームから始まった物語が、ここに着地するのかあと感動しました。すごいお話だ……。

 とにかく面白いのでぜひ読んでほしい、そして人類の悪あがきの歴史と終わる宇宙に衝撃を受けてほしい。死だけはどんな人間にも平等なんですよね。

 

 だって太陽が爆発するとか世界が二次元になって滅びるとかふつう考えます????(唐突なネタバレ)

 常識に囚われない最強のSFでした。人類よく頑張った……。

 訳者あとがきに海外では著者公認の二次創作が出てるとありまして、早川書房頼むそれも日本語にしてくれとか思いましたよね。

 

 いやはや中華人民共和国恐るべしでした。なんでこんなヤベェ本が出るの。今回も安定の語彙崩壊感想で申し訳ないので、このブログの読者さまにおかれましては、ぜひ三体を読んで悲鳴を上げていただきたいと存じます。

 面白かったです!!でも続きはないんですよね……。すごい作品でした。ありがとう著者、ありがとう訳者、ありがとう早川書房……。岩に感想を刻みたいです。