めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

空飛ぶ卵の右舷砲(喜多川信著)の感想

この間買ってきたやつ、ようやっと読めました。

空飛ぶ卵の右舷砲 (3) (ガガガ文庫)

空飛ぶ卵の右舷砲 (3) (ガガガ文庫)

 

これです。

ザックリ言うと「植物によるポストアポカリプス世界の、植物モンスターとヘリで戦う」話です。空飛ぶ卵というのは主人公の乗るヘリ、「静かなる女王号」のことです。

空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)

空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)

 
空飛ぶ卵の右舷砲 (2) (ガガガ文庫)

空飛ぶ卵の右舷砲 (2) (ガガガ文庫)

 

これが1巻と2巻ですね。人類は植物に地上を奪われ海の上で暮らしています。

 

主人公はヤブサメという真面目な若者で、彼の師匠のモズという女性は喧嘩っ早くてギャンブラーで酒飲みでがめついという、不思議なコンビです。このふたりが、「静かなる女王号」を操り、植物から生まれた化け物と戦うのです。

アクションがむちゃくちゃいいんですこれ。きょう読んだ3巻もヤベェ敵相手に超絶ヘリアクションを繰り広げます。

 

この作品は人間模様もとてもいいのです。

人が植物になっていく「ヤドリギ」という病気?みたいなのを巡って、ヤブサメくんは妹を救うべく、戦いながら道を探ります。

しかし3巻では、果たしてヤドリギを人間に戻すのが正しいことか?ということがチラリと見えます。

そして、人間がかつて地上の自然を取り戻そうとして、植物に覆われてしまった世界でも、人間は過去の、地上で暮らしていたころを想っているのです。そして、それが果たして正しいことか?ということも描いてきます。

3巻に登場するタシギという青年(某海賊漫画の女軍人ではありませんので注意)は、地上から逃れたお年寄りたちに、思い出の品を持ち帰るということをしています。お年寄りたちは、それを見てだんじり祭りがどうだとか、かつて地上で暮らしていたころの思い出を語ります。でもその、思い出を持ち帰るという仕事は、樹竜という生き物により阻まれます。

そこでヤブサメとモズは、もろもろの組織と共闘して、樹竜を倒すのです。

もう、かつて羽曳野の街だったところは樹竜により焼け跡になっていて、そこから大阪の中央部に向かう樹竜を止める……という提案を、羽曳野で暮らしていたころのあるミミズクという民間のドンは反対します。羽曳野は焼けてもよかった、でも大阪中央は残すということか、と。

このあたりの人間模様がすさまじい。そこは読んでみてください。

 

そしてこの作品、キャラクターが強烈なのです。

策略家のコルリさんはすごくセクシーだし、モズさんは説明した通りのはちゃめちゃキャラだし、一見普通の主人公のヤブサメくんの趣味は「大昔の教科書を集める」ことで、古書店で落書きのクオリティに感動したりするのです。よく知らないのですが『メメタァ』ってジョジョが元ネタなんでしたっけ?教科書の落書きにありそうだ……。

あとエンジニアのツバメちゃんがめちゃくちゃ可愛いのです。ヤブサメくんがコルリさんに抱きつかれているのを見て拗ねたりラッキースケベしていることに気づかなかったり。ツバメちゃん、すごい頑張り屋のいい子で健気です……。

でもわたしは断固モズさん推しです。モズさんとヤブサメくんの会話はとにかく面白いです。モズさん好きだ。モズさんが暴れまわる限りついていきます。

 

さて、来月は欲しい本出ないんですよね。再読とか考察とか図書館になるかな。なつぞらの感想で埋めてしまわないように気をつけます。