めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

錆喰いビスコ(瘤久保慎司著)の感想

錆喰いビスコはやべえです。

なにがやべえって「キノコ矢で戦いカニに乗って旅をする」というすさまじさです。すさまじい。どうすれば「矢を撃つとキノコが咲く(生えるじゃなくて咲くというのが大事)」とか「カニに乗って旅をする」という、一見クレイジー極まりない発想が生まれてそれを破綻なく作品に落とし込めるのか。想像を絶している。

しかもむちゃくちゃ面白い。一見クレイジーなのにものすごい王道冒険譚なのです。

 

主人公の名前がビスコっていうのすごいですよね。まさにおいしくてつよくなる。相棒は強い子のミロで、こちらもデタラメに強靭な意志の持ち主です。

ビスコとミロは愛する人を救うべく1巻で霊薬のキノコ「錆喰い」を探しにいくのですが、それもただの冒険ってレベルじゃないクライマックスの連続なのです。

「ふうー素晴らしいクライマックス……あれ?まだ半分くらい残ってるぞ?」というスタンスが1巻から3巻までいままで全ての作品のデフォルトです。熱量がやべえです。

 

1巻では悪の県知事が出てきてこいつがまあ極悪で、そんな極悪な県知事がビスコの写真を「好きな女の子の写真を眺める、少年の」ように見つめるのです。いや、ビスコは狂犬ヅラの指名手配犯の男子ですよ。この極悪な県知事、名前を黒革というのですが、ビスコに執着してしつこく追い回して殺そうとします。殺してやる、という執着が愛になりつつあります。やべえです。

2巻では更に極悪な仙人の爺さんが出てきて、諸事情あって不死身になったビスコの胃を盗んでいきます。物理です。そして神になろうとします。やべえです。この爺さんはケルシンハといいまして、まあ極悪です。

3巻はぐっと文明的なアポロというのが敵なのですが、こちらは都市ビルを生やして攻撃してきます。それも愛ゆえに。やはりやべえです。

 

いかにやべえか理解いただけたかと思います。

「悪の県知事」「胃を盗まれる」「都市ビルに襲われる」という単体のワードではよくわからないので、次回作の予告が出るたび「胃を盗まれるってなんぞw」「都市ビルに襲われるってなんぞw」とツイッターでは言われるのですが試し読みが公開されると「胃盗まれるってやばくね……?」とか「都市ビル怖くね……?」って感じになります。

 

あと女性キャラクターがとてもよいのです。がめつくてメカニックの得意なチロルちゃんとか、やはり愛ゆえに戦うミロの姉のパウーとか、2巻で登場する錆を目で吸い上げるアムリィちゃんとか、その母のラスケニーとか……すごくよいのです。

ツイッタージェンダー意識がちょっと古い(意訳)みたいなことを言われてましたが、みな愛のために生き戦う世界なのでわたしは女ですがさほど気にならなかったです。

 

あと不思議な生き物が続々と出てくるのも楽しいです。マクロサイズのピクミンみたいな。ビスコとミロが乗ってるカニのアクタガワもそうですし、空飛ぶエスカルゴとか重油ダコとか、動物図鑑みたいで楽しいです。

 

ビスコとミロの関係がすごくいいのです。ブロマンスと言われますがそういう俗っぽい相棒というより作中で使う表現なら「弓と矢」です。ミロはビスコという矢を撃つための弓です。

 

先日発売された3巻についてですが、まずは赤チロルが可愛いです。すごいサービスシーンがあります。

あとカニVS山手線というすごいものが見られます。すごくないですか、カニVS山手線ですよ。どういう発想なんだ。(褒めてる)

 

錆喰いビスコという作品はどれも頭で映像になるくらい臨場感があります。まだアニメになっていないのに「作画めちゃくちゃいい……ヌルヌル動く……」って感じです。

 

アニメ化しないかな。アニメになったらコンビニでビスコとミロを買うとクリアファイルがもらえるキャンペーンとかやらないかな。

コミカライズされるそうなのでそちらも期待しています。

 

錆喰いビスコはいいぞ!!おススメです。