自己紹介どおりおそらくラノベやライト文芸の感想がメインになるかと思うのですが、今年出会ったものすごいSFから始めます。零號琴(飛浩隆著)です。「れいごうきん」と読みます。
最初はツイッターで早川書房がワイワイ騒いでるのを「ふーん」と見ていたのですが、なんとなく気になって図書館員の母にお願いして図書館に入れてもらいました。ハードカバーの分厚い本を買える余裕がなかったので(貧しい)。
表紙とかタイトルだけではガチのハードSFなのですけど、読んでビックリ、圧のすごい二次創作クラスタの女子によるプリ●ュアめいたお芝居を男の娘が演じるすげえ本でした。語彙が死んでいるぞ。
いや、ホントはガチのハードSFなのですが(どっちだよ)。
世界観がどこかエスニックで、漢字が出てこない名詞が多いです。
観客を登場人物にする特殊な演劇が主体なのですが、それの脚本を書いているキャラクターが、すごく圧の強いオタク女子なのです。その脚本家が惑星の神話と「仙女旋隊あしたもフリギア!」という劇中劇である子供向けアニメ(でいいのかな?)を噛み合わせたものすごい脚本を書いて舞台にかけてしまうのです。
六人いなければいけないのに五人しかいない惑星の始まりの神々(正確に覚えていないので神々ではなかったかもしれないです)に、その「あしたもフリギア!」のキャラクターを当てて、いない筈の六人目をフリギアシリーズ最後のヒロインで埋めるのですが、その発想がそもそもやばくないですか。
で、その最後のフリギアを演じたのが、シェリューという美少年でして、まあこの子が可愛い。この子かフリギアが表紙の文庫本だったら間違いなくライトノベルの棚に並んでいたと思うのです。それくらい徹底したエンタメでした。
その演劇は仮面劇で、観る人はみな仮面をつけるのですが、その仮面がデバイス的なやつになっておりまして、着けることで演劇の観客であり参加者になれる、というものすごいものです。その惑星の成り立ちにもかかわるものすごいもので(語彙)、あぁその辺の設定読み直したい。面白すぎて頭にインプットできていない……。
楽器もテーマの一つでそこも深い設定があって、あぁ読み直したい……。
その惑星に住んでいる生き物のムヒ(漢字出ねえよ)というやつがおりまして、手塚治虫の火の鳥に出てくるムーピーというやつを思い出しました。
そして、劇中劇の「あしたもフリギア!」は、作中の女児たちも「フリギアがんばえー!」って言いながら観ていたのだろうかと思うとニコニコできます。
あとツイッターで零號琴と検索すると確実に「プ●キュア」の字が出てきます。
読んでからちょっと経ってしまいましたし面白すぎて続きを読むのに夢中で細かい設定を覚えていなかったりするのですけど、間違いなく面白いです。すごく壮大なSFで、ぜひ再読したいです。文庫で出ないかな〜。