めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

錆喰いビスコ6 奇跡のファイナルカット(瘤久保慎司著)に思うこと

はい。

きょうは錆喰いビスコ6 奇跡のファイナルカットをお代わりした感想です。

まずはジャビについて書いてみようと思います。

ネタバレしてももうOKでしょうか。この巻の最後でビスコの師であるジャビは死んでしまうのですが、「死んだ」とは表現されず「神となった」と表現されるのは、やはりこの世界ならではだなあと思います。

これを書いているわたくし金澤流都はクリスチャンを一応やっているので、ジャビを拝むわけにはいかないんですが(いやリアルに拝むやつそうそういないよ)、この錆喰いビスコの世界はどこか日本神話を彷彿とさせるものがあると思うんですよ。

ビスコの「超信弓」により「死ぬ」という結果までねじ曲がるのを感じて、きっとジャビは幸せだったんじゃないでしょうか。「ビスコとおもっきり戦う」という願いが叶ったわけですから。

ジャビがビスコを矢と喩えて、お前を放つ弓を探せ……と言ったのを、そのままストーリーに持ち込んで、ビスコがある種神になってしまったために矢でなくなったことを言うシーン、本当に痺れました。ジャビはビスコに「矢」でいてほしかったんですね。

 

次に黒革なんですけど、超ピュアですよね?!?!帯の「待ってたぜヒーロー。」っていうの、黒革の心であり我々読者の心でもありますよね。

黒革が映画を撮るという行為がそのままエンターテインメントになっているこのストーリー凄まじいです。

黒革がビスコ強火担なのは一巻を読めばよく分かることなのですけど、それでビスコをヒーローにした映画を撮りたい、そのために日本を占領するってどこまでも愛が重い。

たぶん一巻のままの黒革だったらできないことですよね。一度死んで、もう恐れより自分の夢を優先する、ということでしょうか。ビスコやミロと戦って死ぬ恐れより素晴らしい映画を撮りたいという熱意を通した。それが黒革の最期の、

『これで!』

アカデミー賞!』

『間違いなしだァァーーーーッッ!!』

というセリフに凝縮されていると思います。

本当に黒革は映画が好きだったんだなあ。インディ・ジョーンズのテーマ口ずさむくらい。もし黒革がレディ・プレイヤー1観てたら「俺はテツジンで行く」とか言ったんでしょうか。

 

あと痺れた小ネタですけど、スポアコたちに助けられたときビスコが吐いた「呑まれウナギ」は一巻のチロルの膨れ蚕と同じパターンですかね?こっちの方がだいぶ痛そうですけど。

パウーを「メスゴジラ」と呼ぶシーンめっちゃ笑いました。ゴリラどころの騒ぎじゃないぞ。

あとビスコのことを「アンタレス」と喩えるシーンがあったと思うんですが(黒革のセリフだった気がしますがはっきり自信はないです)まさに赤い星なんですよね。しかも一等星。ビスコは名前どおりに星なのですね。そんなビスコを「赤ウニ」と形容するチロルとミロもよい。

 

とにかくハチャメチャにいいんですよ錆喰いビスコ。続きが楽しみです。

コミカライズも一巻のいちばん熱いあたりに差し掛かってワクワクしながら読んでます。みんな読んで。

 

次はおそらくななつま二巻の感想になるかと思います。それでは。