めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

獄門撫子此処ニ在リ2 赤き太陽の神去団地(伏見七尾著)の感想

 やべえもんを読んだ。何度でも言いますがマジでやべえもんを読んだと思っております。

 古代メキシコかつ因習村・伝記村的団地である「神去団地」を舞台に、撫子とアマナ、その他たくさんのやべえやつらが大暴れするすげえお話でした。いやあ面白かった。あとがきにある通り真っ昼間のホラーは恐ろしいです。

 撫子は何らかの怪異に巻き込まれ記憶を失い、団地でふつうの女の子として目を覚ます……ところからの突然の怪異とアマナ。今回の怪異は「天狗」でした。想像するとなかなかグロい見た目の偽天狗が続々出てきます。そして団地にはもう一つの太陽である松明丸がかがやき、その光に当たったものはどんな怪我や病気でも治る……というなかなか恐ろしい理由のために、神去団地ではその筋の能力者がうじゃうじゃ集まって日照権を巡って抗争を繰り広げているのです!

 そしてもちろん神去団地は入ったら出られない怪異の団地でして、そこで町内会をやっている謎のラテンアメリカ推しの「タタリコンサルタント」、樒堂ひすいと出会い、撫子とアマナはなんとか脱出するすべを探し、祀庁も行方不明者を追って神去団地に入り撫子とアマナと共同戦線を張る……というのが大まかなあらすじでしょうか。

 天狗の正体はビックリしつつ「ああ、やはり……」となる感じで、でも最後まで読むと間違いなくゾクッとなるやつでした。そしていろいろと神去団地に閉じ込められてしまった人たちが出てきて、それが一つ一つキャラ立ちがすごいです。四月一日さんのセリフが面白すぎて笑いましたし、哭壺狼煙くんがメイド服なのにガラの悪い男子でかわいいです。まぁたふせんの貼りすぎで角刈りの文庫本を作ってしまった……。

 文章がとにかくキレキレですしバトルシーンはカッコイイですし、面白い小説のお手本を読んだような気持ちです。終盤のバトルで撫子から奪われた大事な記憶が戻ってくるシーンはしびれました。あと食べ物がどれもおいしそうなのがいいなと思います。そして前の巻から続く巨大感情の巨大ぶりが素晴らしいです。

 そしてなにより全ての挿絵の破壊力がすごい。きれいなモノクロのイラストって難しそうだなあ……と思います。怖いお話なのにイラストが可愛くて笑えて「いやいまのシーンこんな感じなの!?」となること請け合いです。宇宙猫。

 いやあ面白かったです。傑作か。傑作だよ!!!! 次の巻に続きそうな登場人物もたくさんいて、どうなるかたいへんワクワクしております。ガガガ文庫は本当にいい本を作るなあ……。

 

 面白かったです、オススメです!