めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

悪ノ黙示録ー裏社会の帝王、死して異世界をも支配するー(牧瀬竜久著)の感想

 やべえもんを読んだ。

 異世界ハードボイルド! といった趣きの、暗黒ファンタジーでした。いやあ面白かった、読んでよかったやつだ。

 まず主人公のレオがめっためたにカッコイイのですよ……現実世界で全てを手に入れたマフィアのボスが、死刑にされて目覚めたら異世界でスラムのティーンエイジャーになっていた、という大変シンプルな出だしなのですが、裏社会の帝王であったその知識と信念をもって悪道を征く! という展開はたいへんしびれましたです。

 スラムでできた仲間たちを、レオは「家族」と呼びます。クールな女の子イドラ、チャラくて陽気な少年ヴァイス、ほとんどしゃべらない名前のない少女の三人が最初の仲間で、レオは名前のない少女に「ユキ」と名前をつけるのですが、ユキは過去にいろいろあった結果名前をつけてくれる人をご主人様と呼ぶタイプの女の子で、レオはスリで手に入れたお金で仲間たちに服を買い与えるのですが、ユキが選んだのがメイド服というね……。それが表紙イラストです。

 個人的にヴァイスがめちゃめちゃ好きです。魔王都市のバケツくんを思い出しました。この手の陽気だけど異様に強いキャラ、大好きです。

 そしてイドラとヴァイスもただのスラムの子供でなく、いろいろな過去を抱えている結果チート性能で戦うことができます。レオはこの仲間たちと、騎士団の物資輸送と悪党の一団である「黒狼」を同時に壊滅させ利益を得る作戦を実行します。

 騎士団の団長は貴族出身のまあムカつくやつで、「黒狼」のボスもなかなか小物です。一巻の敵に丁度いいかな……と思っていたらもっとヤバいやつが出てくるではないですか。そして騎士団の「閃光姫」サフィアの運命が壮絶すぎて「え?」ってなりました。

 これからもっとヤバいやつが続々出てくることを想像させる展開が素晴らしいです。最初はほぼ笑いどころがなくてちょっと苦しかったんですけど、女湯を覗きにいくシーンでちょっと笑ってそこからはただただ面白く読んでおりました。

 主人公がシンプルにチート性能なのもそんなに違和感がないというか、そのチートがあれば「家族」も強くなっていく、という展開はたいへんよいと思います。本当に、レオは家族を愛してやまない男なわけです。ひたすらに悪いやつではあるのですが。

 レオが少年なのに老獪な印象のセリフを発するのが好きです。転生前の記憶がひたすらに悪なので、こちらでもそういう生き方を選ぶのがとても自然なのがとてもいいです。おもしれー。

 続きあるのかな。あるといいな。面白いから……。

 

 面白かったです、オススメです!