めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

公務員、中田忍の悪徳3(立川浦々著)の感想

 はい、やっぱりやべえものを読みました。

 語彙が崩壊するくらいの楽しいお話にして登場人物の感情がすさまじく繊細に描かれた奇書もといライトノベル。今回は「どうやらもう一人異世界エルフがいるらしい」というところから始まるお話です。

 もう一人の異世界エルフの正体は書いてしまうと盛大なネタバレになってしまうので、ここは今回新登場のキャラクター・御原環ちゃんについて語ろうと思います。

 

 御原環ちゃんはちゃんと学校に行っているにもかかわらず「ひきこもり」を名乗る高校生の女の子です。境遇がやべえ孤独と自己嫌悪でできあがっていて、可哀想でしんどいです。着るものに無頓着で、ふだんはジャージに黒縁の伊達眼鏡、中田忍と知り合ってちゃんとしたものを着たいと思ったときに、洋服屋さんでマネキン買いをしなきゃいけないくらい、ファッションに気をつかったことがありません。

 学校に友達はおらず、電車に乗れば確実に痴漢に遭う、言ってしまえばそのまんま可哀想な女の子です。読んでて可哀想でうぐってなりました。

 彼女の心の支えになっていたのが「エルフの研究」でした。小さいころ買ってもらった「エルフのおうじょとほしのまほう」という絵本がきっかけで、彼女は高潔な生き方をするエルフに憧れを抱きます。そして諸事情あって、二人目の異世界エルフを探す中田忍と遭遇し、その研究と「エルフの羽衣」を引き渡すことになります。

 中田忍がうまいこと騙して環ちゃんがアリエルちゃんに会うのを諦めさせようとするんですけど、そこから先の顛末はじわじわ泣けるからみんな読んでくれ。中田忍はすでに一巻の、異世界エルフを冷凍して海のかなたに捨ててこようと考える中田忍ではないんですよ。周りの人に助けられアリエルちゃんと暮らし、なんというか……人の心を手に入れた感じです。

 アリエルちゃんが中田忍を慰めようとしたり、また中田忍にただ守られるだけでなく一緒に生きていこうという態度をとるシーンが泣けます。あと義光さんのかりんとうの誤解が環ちゃんのアイディアで誤解が解けるくだり、「よかったああああ~~~~!」ってなります。

 全体的に読んでて情緒が乱高下するタイプのお話でした。とりあえず問題が解決してよかった……と思います。

 ラストでものすごいヒキを残して終わったので、続きが楽しみです。あと紙の本で買ったら最後のページにアリエルちゃんパーカーの広告が載ってて「なにこれ欲しい」って思いました。中田忍の描いたアリエルちゃん、パーカーにプリントするとオシャレな前衛芸術みたいでカッコイイです。

 ライトノベルは巻が進むと仲間も敵も増えていくものですけど、今のところアリエルちゃんを脅かす敵っていないんですよね。次の巻で出てきたりするんでしょうか。楽しみです。

 面白かったです、オススメです!