めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

隷王戦記3 エルジャムカの神判(森山光太郎著)の感想

 戦いの終わりを見届けたので、ブログを書こうと思います。

 壮大な戦記物語、ここに完結! という感じでした。なんていうか、すごく正々堂々と正面から迫ってくるというか……赤身肉のウェルダンのステーキというか……王道を堂々と進む物語でした。

 ネタバレは避けるとして、この作品のこの巻を読んでいる間、ずっと秋田県民にはお馴染みの2018年夏の高校野球が頭のなかをホワンホワンしてました。もちろんここにくるにあたってたくさんの犠牲は出ているのですけど、今回はとにかくカイエン率いる戦(もっと難しい漢字なんですけどちょっと変換出なかったです)の民と、アルディエル率いる聖地回復軍の戦いが、決勝戦金足農業大阪桐蔭の試合でいままで勝ち続けていた金足農業がどんどんやりこめられていくのを思い出す展開でして……。

 アルディエル、めちゃめちゃ強くなって登場しましたし、フランの力もやばかったです。アルディエル、フランを守るためだけに戦い続けたというのがアルディエルらしい。そしてアルディエルとカイエンが選んだ道、わりと終盤だったので「ここでか?!」となりましたです。

 そしてエルジャムカ率いる牙の民との戦い。心があって弱いからこそ、カイエンは戦うことができたわけです。エルジャムカが人類を滅ぼすために戦い、カイエンは人類を救うために戦う、というぶつかり合いはやはりドキドキします。

 タメルランとかバイリークとかサンジャルも相変わらずでしたし、「スピンオフ作品とか出ないかなどうですか早川書房さん」という感じです。

 この作品の「背教者」と「守護者」の戦いは、人ならざる力、言ってしまえば異能の戦いなんですけど、それでもその力を宿しているのは人間なわけです。戦うのは人間なわけです。なにかこう、著者のなかの歴史観が垣間見られるというか、歴史を紡いできたのは人間なんだよなあ……ということを感じます。

 そしてエピローグがいいんですよ。この物語の核心を突くエピローグでした。

 

 とにかく面白いのでみんな一巻から買って読んで「ひええ~!」ってなってくれ。とにかく傑作だから。えねっちけーで昔「精霊の守り人」のドラマやってた感じでドラマにしたら面白いと思うんですよ。でも黒髪でないキャラクターが多くてヅラ感出ちゃうかな。マイは清原果耶さんがいいなあ。カイエンはだれだろうなあ……。

 狭義のライトノベルでないファンタジー作品を読むのはこのシリーズで久しぶりだったんですけど、完結してしまってほけーっとなってます。あと装丁(というか表紙)がすごく美しいです。一巻は表紙の美しさで買ったのもあるので……。

 長い戦いの物語、しかと見届けました。面白かったです、オススメです。