めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

スーパーカブ8(トネ・コーケン著)の感想

 とても素敵なライトノベルを読んだ。

 金欠のときにうっかり手を出してドハマりしたスーパーカブ、ついに最終巻です。とても良かった、良かった……。

 今回は小熊ちゃんがメロンを運ぶアルバイトをして、そこから「仕事とは」とか、そういうことを考える、というお話です。相変わらず文章もきれいだしリアリティがしっかりしているし、すごく面白い本でした。

 今回いちばん嬉しかったのはシスター桜井の再登場です。相変わらず粗暴だ。五巻でバイクに乗るのが怖くなったと告白したシスター桜井が、事故を起こしたときのバイクの修理代を稼ぐべくメロンを運ぶアルバイトを一緒にやるんですよ。最高かよ。

 笑っちゃったのはシスター桜井が客先のひとに「子供が生まれたら洗礼名をつけてください」って言われて、「うちは人気の名前を調べてつけるだけのぼったくりだ」って返すとこですかね(文章は正確でないですが)。そんな、仏教の戒名じゃないんだから。シスター桜井、きれいにしていれば女優に見える美人なんですよね。ツインテのシスター桜井すごくよきです。

 あとこれは以前も出てたような気がするんですけど、小熊ちゃんって海外の名前を漢字にした難読苗字のついてる、ちょっとだけアイルランドの血の入った子なんですね。歯医者さんも気づかないレベルのオッドアイというのはワクワクします。

 最終巻なのですがとにかくすごくきれいに終わっていて、ライトノベルの最終巻はこうであってくれ……と思うようなラストでした。面白かった~。礼子ちゃんが肉につられてやってくるくだり、そんなモンハンのしびれ生肉じゃないんだから……という感じです。あと椎ちゃんのフットサルのチームメイトに質問攻めにされるくだりも笑いました。そりゃ修学旅行のバスをカブで追いかけたら伝説にもなるわな……。

 小熊ちゃんが社会の歯車になったとしても、小熊ちゃんにカブが与えてくれた「自由」というのは何物にも代えがたいもので、小熊ちゃんの人生は本当にカブに変えられたんだなあと思います。ここまでの物語で、小熊ちゃんはないないの女の子から、バイクで生計を立てることのできる女の子になったんですよね。なんというか胸熱です。

 もう続きはないのかあとスーパーカブロスになっているのですが、アニメも続きやってくれないかなあと思います。ただ楽しくカブに乗ってた高二のころだけじゃなく、本格的にアルバイトを始めて災害の起きた土地にものを届けに行くとか熱いバイク小説エピソードがいっぱいあるのですが。スーパーカブシリーズ、「孤独な女の子がバイクを手に入れて人生が変わるお話」を装ったガチのハードボイルドバイク小説なので。ただ二人乗りで炎上しちゃったからなあ……。

 

 とにかく面白かったです。最後の大団円っぷりがすさまじい。小熊ちゃんの人生に幸あれ。オススメです。

 それから帯に書いてあった新作の礼子ちゃんが主人公の漫画がとてもとても気になるので、単行本が出たら買ってみようかな、と思っています。

 ありがとうございました、お疲れ様でした。