めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

二分間の冒険(岡田淳著)の話

はい。

ななつま2巻でも三体IIでもありませんでした。ななつま2巻は3巻を読んでからでないと感想を書けないかなと思いまして。来月あたりまとめて感想書きます。

 

きょうはこいつです。

二分間の冒険 (偕成社の創作)

二分間の冒険 (偕成社の創作)

 

ひゃー懐かしい。小学校の学級文庫にあって読んだのが最初で、内容を覚えたままタイトルを忘れてたんですけど、こないだ書店で見かけて「これ二分間の冒険ってタイトルだったの?!」ってなりまして、図書館で借りてきました。

図書館の本なのであまたのキッズたちが触ってきたらしくすごくボロボロでしたが中身は無事でした。では感想行ってみよう!

 

ざっくり言うと「小六男子が猫に騙されて異世界に転生して竜と戦うことになっちゃう」お話です。

ファンタジーなのですが、例えば印象的なシーンでいうと、勇者の剣を岩から引き抜いたかと思ったら竜のもとに向かう子供たちは全員それを引き抜いていて、抜かれたあとの岩に、そこを管理する老人がまた剣を刺している、つまりそれは「自分こそ勇者であると思わせて協力させない」という目的、という小学校上級にはいささか意地悪な内容なんですよね。

冒頭で主人公たちは学校の映画会の支度をしていて、主人公は「西洋の騎士が竜をやっつける映画がいい」みたいなことを言っているので、初代ドラクエと同時期かな?と思って調べてみたら初代ドラクエより一年早かったようです。

 

主人公は猫のダレカ(まあ比較的善良なQBみたいなもんです)に、「なによりも確かなもの」を見つけて、それを捕まえたら元の世界に戻れると言われます。

そこでものすごい消去法の冒険が始まるのです。ヒロインのかおりでもない、勇者の剣でもない、竜でもない。まあ大人が読めばだいたい把握できる正解なのですが、それはもう一つのストーリーのキモである「時間」が自分の主観である、というところから分かります。

主人公の飛ばされた異世界には、誰からも習っていないのになんでもできる子供だけの村があり、そこから竜のもとに向かった子供たちは竜に負けて老人にされてしまうのですが、その老人は「若い時代」のことを覚えているのです、竜によって一瞬で老人になったのに。

子供だけの昔にいるのは、その竜によって老人にされた子供が、存在しない若い間に育てた子供たちなわけです。

 

もうここまで書いてディストピアすぎてグエッてなります。でも主人公たちは竜を倒す(ただしすごく姑息な手で)ことに成功します。

子供のころ読んだときそのやり方のあまりの姑息さに「やべえ」となって、勇者の剣のエピソードと竜退治のエピソードははっきり覚えてました。

それで主人公は「確かなもの」を見つけて、無事元の世界に戻ることができました。感動とかより不思議な味わいが強いです。

 

なによりとてもレトリックが美しいんですよね。夏休みの読書感想文にいいんじゃないでしょうか。ファンタジーの入り口としても。

なかなかエグい内容ですし複雑な内容ですが、とても面白いので、ラノベに疲れたら読んでみるのがいいかと!児童文学面白いです。

 

さて、棋聖戦はどうなってるんでしょうか(いきなり話題を変えるな)。こないだの王位戦藤井聡太先生の凄まじい逆転勝利でびっくりしたんですよね。

次は戦国ベースボールの感想かなー。それまでに三体くるかなー。