すみません、忙しいと言い訳して久々の更新です。
いきなり本題でアレですが、この間までやってた「少年寅次郎」ってドラマが素晴らしかったんですよ。
ずばりタイトル通り「男はつらいよ」の寅さんの子供時代を描いたドラマなんですけど、すごい勢いで泣けるやつで、とにかくよかったんですよ……。
「男はつらいよ」をちゃんと観たことはないんですけど、まずは幼少の寅さんを演じる子役さん(小学生時代と中学生時代の二人)がめっちゃ寅さんに成長しそうな子役さんでまずはNHKそこがすごい。
その寅次郎少年がわんぱくかつせつない少年時代を送る話なんですけど、寅さんって父親が芸者さんとの間に作った子供で、父親の家である団子屋さんの前に捨てられていたんですね。それで父親の妻で育ての母親になる光子さんに拾われて、寅さんの人生が始まります。
川でウナギを釣って料亭に売って、貧しい友達にお金を渡して、でもウナギを売ったことがバレて叱られたり、元気な少年に育つのですが、小さい頃から「生みの母親は別にいる」と聞かされて育って、父親は飲んだくれて寅さんをバカにするようなことをずっと言っているんですよ。
この父親というのが凄まじいクズ男で、こいつがまともだったら寅さん悲しい目に遭わないで済むのに……って思ったんですけどまともだったらそもそも寅さん生まれてないんですよね。そしてその父親は戦争に行くことになります。
寅さんにはお兄さんがいて、お兄さんは病弱で普段から吸入をしている描写が挟まるんですが、お兄さんは父親が戦争に行っている間に病気で死んじゃうんですよね……。
で、もちろん妹もいて、父親は戦争から帰ってきて妹を怖がるというか避けるようになるんですが、どうやら父親は戦地で寅さんの妹……さくらくらいの子供を殺してきたらしいのです。このくだりも悲しすぎて。
寅さんは勉強は苦手なのですが、それなりに楽しい中学生活を送ったようで、裏の印刷工場の女子工員さんに惚れます。その恋が破れると、担任の先生の娘に興味を惹かれます。
父親がその先生の娘の悪口を言うのを聞いて家を飛び出して、それでも光子さんはさくらがこっそり食事を届けていることに気付いて気付かないふりをして食事を多めに作ったりするんですけど、光子さんは腰が痛いって言っていて、騙し討ちで病院に連れて行くとがんであることがわかります。
ここから先がハチャメチャにかわいそうでして、光子さんが亡くなって父親は居なくなってしまい、中学生の寅さんが喪主代理を務めます。葬式が終わってから帰ってきた父親と喧嘩をして、寅さんは中学生にしてテキヤになると決意を固めて旅に出るのです……。
書き出してみると悲しい度数は低いんですが、エピソードひとつひとつがせつなくて、毎回ボロッボロ泣いてました。
オチとしては、まだ少年の寅さんが旅先から汚い字の手紙をさくらに送って、テキヤの修行をしている様子が出るのでメリーバッドエンドというやつなのかなあと思いました。
寅さんの境遇がかわいそうで、それでお母さんの光子さんの優しさがせつなくて。
東京大空襲のシーンで川原の土手から燃える街を見つめる幼い寅さんが、とにかく哀しくて仕方がなくて(葛飾柴又のあたりは燃えなかったのですが)、人間の愚かさでヒリヒリしますよね……。
全編通じて父親がクズなんですが、父親は自分によく似たタイプの寅さんが逆に疎ましいというか憎いというか、自分に似ているからこそ許せないみたいなところがあったのだと思います。
なおこの作品、原作は山田洋次監督による「悪童」という小説で、そっちもまた違った味わいでめちゃめちゃに面白かったです。
これです。とても読みやすかったです。ドラマになってないエピソードもたくさんありました。
一回ちゃんと男はつらいよ観てみようかなあ。観た人が「現代の価値観だと寅さんはまあクズ」って言っててみる勇気が湧かないというか。
次の更新は来月のスーパーカブ6巻のあたりかなあ。