3月のライオン、好きなんですよ。
最初は母がアニメにハマって、1話の再放送を観たらわたしもハマって、いまは既刊全巻揃っている状態です。ファンブックはないですけど。
とりあえず去年発売の最新刊を貼ります。
「面白い」という定型の言葉でくくれない作品だと思うんですよね。
人間関係だったり勝負の世界だったり、時々突発的に出てくるギャグだったりが、圧倒的な画力で構築されている。綺麗な絵でときに眩く、ときに闇のように暗い物語が描かれる。
なんというか、ユーモアの飛び出し方が手塚治虫を思い出すのですよね。急に顔が変わるとか。
わたしの密かな持論なのですが、「顔のタッチがキャラクター毎に違う漫画は傑作」というものがあってですね、わたしのような素人が描くイラストってハンコ絵というか顔の描き方が似てくる、同じパーツを使い回すじゃないですか。この漫画は圧倒的に、みんな顔が違うんですよ。個性があるのです。試しに滑川さんと零くんと島田さん並べてみてください、三人全然顔違いますから。同じ顔してる人がいない。そこがまずはすごい。
ストーリーも、零くんの成長だけでなく、周りの人たちも育っていくのがすごいのです。モモちゃんが二海堂を「はるのぶさん」と呼べるようになったり、ひなちゃんが高校生になる、みたいなわかりやすい成長もそうですし、いろんな人がいろんなふうに育っていくのがいい。いい大人の林田先生も成長するんですよ、すごくないですか。
零くんが妻子捨男に「カッコウなら木に止まって虫でも食べてろ」って言うのすごくないですか。零くん、最初のほうで自分はカッコウだと思ってた子ですよ。学校でも馴染めないで、陰口を言われていたのに「将棋先輩」って慕われるんですよ。すごすぎて涙出る。
だれか一人が主人公じゃないんですよね、零くんだけでなく三姉妹も二海堂も林田先生も島田さんも、あるいは柳原さんや滑川さんに至るまで……みんな主人公なんですよ。群像劇ってやつですね。
みんなが幸せになる方法を探していて、それは妻子捨男すら同じなんですよね。
描かれているのはキャラクターでなく、人間なのです。どこまでも血の通った人間なのです。
あとシリアスなストーリーなのに突発的に仕掛けられるギャグが強烈なのも好きです。
辻井さんのくだりとか傑作じゃないですか。三姉妹の「お米は野菜」とか。会長の「降級停滞昇級です!」とか。イソメのとことか原始棒銀ゴリラとか。なにこれ傑作すぎやしないか。
決して悲しいだけじゃ終わらないしおかしいだけでも終わらない。すごくよくできてる。それが圧倒的な絵で展開される。すごい。
ちょっと描き文字がうるさいですがそこもまた味だと思うんですよね。描き文字、アニメにも描かれてましたもん。
アニメは1期も2期も完走したのですが映画はまだ観てないんですよね。なんとなく有村架純ちゃんの香子さんとか清原果耶ちゃんのひなちゃんが想像できないというかそれって合うのだろうかと思ってしまって。
3月のライオン、間違いなく傑作だと思うのですよね。
面白い、というだけでくくれないお話だと書いた通り、人間を描いたからこそ出る深みみたいなものがある気がします。
ひなちゃんをいじめていた赤城さんとか、最初のほうでクリスマスプレゼントをわざと忘れようとした棋士とかが、どういう人生を生きているのか、ちょっと気になります。
3月というのは三月町という地名と順位戦の終わりをかけているのだろうなあと。タイトルがまずは不思議ですよね。
というわけで思ったことをつらつら書いてみました。なんだかとっちらかってますが、とにかく3月のライオン、すごく面白いので是非。なかなか硬派な将棋ネタも挟まりますし、
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これを書かれた先崎先生のコラムもあります。おススメです。
よし、頑張ってナウシカも読むぞ読むぞ。