また面白いものを読んでしまった。
今回もキレキレでした、ギャグのかっ飛ばし方が素晴らしい。児童書としてもちゃんと成り立っている。なにこれ傑作??
今回の対戦相手はブラック三英傑率いる「地獄ゴッズ」でした。ブラック三英傑は人々のイメージする「悪い三英傑」でして、文字通り悪い奴らが続々登場します。
というか、ツッコミどころをちゃんとツッコむ虎太郎くんえらい。ツッコミどころを的確にツッコむこの姿勢、あきらかに著作が関西でとれた人だ!!
あと、2017年あたりからしれっと桶狭間ファルコンズのメンバーになってる直虎ちゃんもそうなんですけど、積極的に大河ドラマに乗っかっていく姿勢大好きです。明智光秀……。
あと伊達政宗について「す、すごい!」って言った次の行で「すごいけど不幸!」ってなるの笑いませんか。あと信長が敦盛を歌い出してヒカルちゃんに歌のタイトルを教えてもらった虎太郎くんのリアクション、狙ってますね??
相変わらず歴史についてたのしく知識を増やしつつ「正義とはなにか」というテーマを掘り下げるの素晴らしい。やっぱり面白いです。
このシリーズの大成功した点は「歴史」と「野球」という、深くて広い世界をテーマにした点だと思うんですよね。
歴史は多面的な見方ができるので、登場する偉人の人物像をどう描くか選択できますし、野球にそのキャラクターを落とし込むのも自由だし。ただそのぶんキャラクター造形は苦労されてるんだろうなあと思います。
でも大好きなジャンル2つを合体して本を書けるりょくち先生が羨ましいです。楽しそう。
面白かったのは明智光秀だけじゃなくて、ヤマタノオロチが相手チームにいるとかブラック秀吉がリアルに猿でヒカルちゃんがぜんぶ通訳してくれるとか、分かりやすくて笑えるギャグでしょうか。
あと閻魔兄弟のオナラ対決とかどうしようもなく笑えます。「チャリで来た」とか。これ小学生さん元ネタ分かるんですかね……?分からなくても面白いとは思いますが。
ブラック信長の必殺技「抹香トルネード」は歴史の有名なエピソードからきてますしブラック秀吉はオリジナル秀吉よりだいぶ強いしブラック家康は真田丸終盤の年老いた狡猾な家康を思わせます。
戦いが歴史を作るのですね……勝者のつくる歴史は敗者の掲げた正義を悪とみなす、という歴史の世界の掘り下げ方震えます。
とにかく今回も面白かったです戦国ベースボール。つぎの巻で完結しちゃうのかあ。次回はオールスターゲームのようで、人気投票でチームが組まれるとか。どんなチームになるかとても楽しみです。
大きいお友達でも夢中で読んで夢中で笑える素敵な児童書、最後までお供いたしまする。