ようやく読めたシリーズ。こんなすさまじいものを積んでいたのかと思いましたよね……。
これまた表紙がバッチバチに美しい。こんな綺麗な女の子があんな大立ち回りをするとは思わんですよ。フィギュアスケートの選手みたいな衣装ですよね。
もう発売からだいぶ経つのでネタバレ砲を撃っても大丈夫ですかね……?
1巻で主人公の暗殺者・ロロは、鏡の魔女テレサリサを味方につけます。しかしながらデリリウム姫は眠ったまま、仲間たちは虐殺され、メイドのカプチノは行方不明……という満身創痍なわけですが、それでもロロは魔女を集めて王国アメリアに抵抗したいという主人バドの命令を忠実に守り、バドがかつて同盟を結んだ北の国(ノースランド)に向かいます。そこには凍りついた古城に住む雪の魔女がいるわけです。
ノースランドのヴァーシア人の皆さんがとてもいいです。戦って死ぬことを誉とする人々で、なんというかヴァイキングみがあります。雰囲気は北欧なんでしょうか。サウナが大好きで、ロロも雪王ホーリオと交渉するためサウナに入るのですが、我慢しすぎて気絶したりします。あとサウナに一緒に入ったヴァーシア人の戦士たちにひどいあだ名をつけられます。ロロ不憫。
前半はそんな感じで、テレサリサがカヌレ食べ放題を要求したりとなかなか楽しいお話なのですが、古城に突入したあとがヤバいのです。
雪の魔女だけでなくアメリアの九使徒まで現れて、ものすごい大虐殺が展開されます。ロロに変なあだ名つけて盛り上がってたヴァーシア人の戦士たちが九使徒のひとり・ココルコに次々なすすべなく殺されていく。というかこの物語はおとぎ話の世界で、ココルコはブレーメンの音楽隊がモチーフのようです。驢馬やべえ。
そんな絶対絶命の状況で、ロロはココルコを倒すべく雪の魔女ファンネルに共闘を持ちかけるのですが、ファンネルの飲んだ条件がつらすぎる。その約束のおかげでロロはギリギリ死なないで済むのですが。
というかここまで頑張り続けたロロ、黒犬という通称通り完全に主人の命令に忠実なだけで、すでに心はポッキリ折れてるんですよね。それにテレサリサが気付いたシーンがとにかくせつない。
物語の最後、ロロはほぼ生きてない状態なんですけど、続きで復活するんでしょうか。あとファンネルとテレサリサの関係がとてもいいです。
それからファンネルの過去のつらさがすごくてですね、女神として育てられた彼女が魔女になった理由が凄まじくて。テレサリサもそうでしたが魔女の過去めっちゃ重いです……。
笑いどころも泣きどころも痺れどころもある、ダークバトルファンタジーでした。続きが楽しみです。あとがきのあとの短いお話も良かった。
期待して続刊を待とうと思います。面白かったです!