めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

スーパーカブ5(トネ・コーケン著)の感想

なにこれめっちゃエモい(語彙)

スーパーカブ 5【電子特別版】 (角川スニーカー文庫)

スーパーカブ 5【電子特別版】 (角川スニーカー文庫)

 

電子特別版なんて出てたんですね。わたくし紙媒体大好き人間なので普通に本屋さんで買いました。

 

この小説は孤独な少女・小熊が、スーパーカブを手に入れて自由や友人、仲間を作っていく、外の世界へ出て行く、というただそれだけでエモいものです。

5巻では高3の一月が描かれます。ここまでの道のりもべらぼうにドキドキするストーリーでして、女の子がバイクをきっかけに友達を得る、というほんわかストーリーだけでなく、たとえば1巻なら修学旅行バスをバイクで追うとか、2巻なら桜前線を捕まえに山梨から九州までだったかな、とにかく南へバイクで走るとか、とにかくドキドキワクワクするストーリーが挟まります。

高3の一月がどういうものか、中卒のわたしは知らないのですが、小熊は進学を決め、勧められた寮をバイク禁止の寮則を理由に断って自力で住むところを見つけます。

しかし、引越しっていっても荷物はないしなーとゆるくなっているところで、もらい事故で骨折して入院することになってしまいます。

担任の先生が「もうバイクには乗らないように」というのですけど、小熊ちゃんのカブに出会えてからの人生を見ていないのだなあとしみじみ。

あと小熊ちゃんと病院で同室になった桜井という女の子もバイク事故で入院しているのですが、彼女めっちゃガラが悪いのにシスターなんですよね……もうそれだけでツボったのと同時に、ブラックラグーンの暴力教会かよと。黒にシルバーでクロスを書いたメットってヤンキーかよと。もう桜井ちゃんめっちゃ推せる。小熊ちゃんの悪友礼子ちゃんが桜井ちゃんとバイクの名前で「ハンターカブのレーコか?!」みたいなやりとりするのすごくよい……。

そして桜井ちゃんはバイク事故で、またバイクに乗る勇気を失っていたのですが、小熊ちゃんがバイク便の社長の古いバイクをもらい受けて桜井ちゃんに乗るよう言うシーンがすごくいいんですよ。そして桜井ちゃん、退院の日にシスターの制服を着てバイクで病院を去るのですが、すぐに反対の脚を折ってまた入院してしまうという。

 

このストーリーのなにがいいって、なにも持っていない孤独な小熊ちゃんが、ちょっとずつ様々なものを手に入れていく過程なのですが、5巻はその手に入れたものに向かい合うストーリーなんですよね。カブや仲間たちとの関係もそうだし、桜井ちゃんというifの小熊ちゃんを通してバイクに乗るとはどういうことか、ということに向き合うのも。

一巻を買ったときは「なんか面白そう、女の子とバイクかあ。ほのぼの系かな?」みたいな感じで買ったんですけど、読み始めたらとても熱く真っすぐなストーリーで、超王道でした。

本当に面白いのでもっと流行ったらいいなあ。あとイラストもとてもよいのです、可愛らしくて、でもどこか色っぽくて。

他にも脇役のキャラクターがみんなよいです。個性的で楽しい。

 

なによりバイクに乗るのに懲りない小熊ちゃんが強い。事故に遭って最初に心配したのはカブのことでした。運ばれて余裕が出来たらカブの修理の手配をしました。退院したらカブに乗りました。

小熊ちゃんは本当にカブによって人生を得たのだなと。友達も、仕事も、なにもかも。ちょっと泣いていいすか。

次は卒業編になるのかなあ。これ、ドラマにならないかなあ。アニメよりドラマだよなあ。小熊ちゃんのクールな感じは清原果耶ちゃんあたりで。

 

さて、一週間後は錆喰いビスコの新刊が出るぞ。ワクワク。