めんどくさがりの自分の尻を叩く読書ブログ

読書は好きだ。だがめんどくさい。だけれど面白い本を読みたい。だから感想を書いて尻を叩くというブログ。

斎藤隆介・滝平二郎の絵本の話

長い記事にはならないかと思いますが書いてみます。

わたくし秋田県民でして、去年の8月は平成最後の百姓一揆に心躍らせていたわけなんですが、斎藤隆介滝平二郎の絵本は秋田県民に直撃するんですよね……。

猫山 (創作絵本38)

猫山 (創作絵本38)

 
ふき (えほん・ハートランド)

ふき (えほん・ハートランド)

 
三コ (日本傑作絵本シリーズ)

三コ (日本傑作絵本シリーズ)

 

花さき山とかモチモチの木とかはど定番なのでとりあえず置いておいて。

 

「猫山」、すごいいいんですよね。シリアスなストーリーの多いこの作品群では珍しい明るい話。楽しいし可愛いです。

猫にも心があるのだなと猫を飼ってると思うんですけど、まさにそれなんですよね。猫だって家族が好きだ。それをしみじみ感じました。

 

「ふき」は最初の平和な雰囲気からの突如鬼登場、という驚きがありました。ふきが街の話をしたり可愛いかんざしをつけてたりするのに、突如復讐ストーリーになる。でも何かを殺してしまったら自分自身も死んでしまう悲しみがすごいです。

ふきのとうは秋田県民お馴染みの春の味ですが、悲しいストーリーをこの淡い黄緑色から作り出す力はすごいと思います。

 

最後。「三コ」。変なタイトルですがすごく深い。主人公の三コは三男坊で誰も名前を呼ばず、三コと呼ばれています。三コは巨人になり人を守ろう助けようと山を持ち上げます。しかしそこに木を植えることで、自分のような三男坊たちが稼げるようになるのですが、その山が燃えてしまいます。

そこに三コは覆い被さり火を消します。そして三コは山になります。

なにこのエモすぎるストーリー。

 

悲しいことが起きるのは当たり前のことかもしれません。でも悲しいだけでは人間は生きていけない。悲しいということは、別のときは楽しいということだから。

明るい「猫山」でさえ家族からさらわれた猫が登場するこの世界、強いです。

特に「三コ」の、大地を揺るがすエネルギーは、すごく切ないです。

 

短いですが感想でした。

このシリーズ、絵も素敵なんですよね。絵本だから当然ですけど。

おススメです。