ついに完結まで読みました。
何故か上下が逆に表示されちゃう。まあいいか。
今回のお話は「地球で毒ガスばらまいてるロボット倒したら宇宙のどこかにあるロボットの生まれた星に飛ばされちゃったぞ!そこでエライ目に遭いながら帰ってきたら地球で戦争始まってたぞ!なんとかしなきゃ!」というお話です。
前の「巨神覚醒」の段階では少女エヴァは10歳でしたが、ロボットの生まれた星で19歳になりました。ロボットの生まれた星で彼女はそこに適応し、その星の言葉まで覚えます。
一方で大人たちはみんなで地球に帰ることを望むのですが、まあそのくだりがすごい。宇宙人の「他民族に干渉しない」という思想のせいで、大人のうち一人は治せるはずの病気で死んでしまい、エヴァは無実の罪を着せられて、たくさんの宇宙人の犠牲(このくだりがシビれる面白さなので多くは語るまい……)ののち地球に帰ります。
その犠牲になった宇宙人はエヴァの友達でした。エヴァは友達を犠牲にして帰ってきたことで同じく異星にきていた父親のヴィンセントを憎みます。そして、親子で巨大ロボを使った地球の命運を握る大喧嘩を始めてしまうのです。
アメリカが「巨神覚醒」で倒されたロボットを修理し兵器にしたのに対し、ロシアはロシア領にワープしてきたテーミスを兵器として使います。修理されたアメリカのロボットはラペトゥスと名付けられていました。
もうね、ロボットバトルというだけで熱いのに反発しあう親子の戦いというのがまた熱い。そして会話記録や手紙などで話が進むので、地の文がないのですが、それでも伝わるヒリヒリ感。
「巨神計画」から始まった物語の決着にふさわしいアチチなストーリーで最高オブ最高なんですよ、これは面白い。面白すぎる。
エピローグもたまらなくよいのです、満足感がすごい。素晴らしい小説を読んだなあと思いました。
著者は子供にロボットのおもちゃを作る口実にSFを書いているのだそうです。
でも人間が遺伝子の中の宇宙人成分や宗教で分断されてしまう様子はおもちゃを作る口実というにはリアルすぎてですね、おもちゃからどれだけ想像を膨らませたんだろう、としみじみ思いました。
現代はどんな理由があっても差別をしてはいけない、ということが世の中で叫ばれている時代なわけですけど、「巨神降臨」の世界では当たり前に、どれくらい宇宙人の血を引いているか、そしてどんな宗教かで差別されるんですよね。凄まじすぎる。新しい価値観なんて、人間の根底にある「差別する」という感情からは逃げられないのです。たぶん実際宇宙人がきてロボットで毒ガス撒き始めて、それで死ぬ死なないが遺伝子の差ならこうなると思うんですよね……。
とにかく巨神計画三部作、大変熱く読みました。第1作・巨神計画を読んだのは年単位で昔ですが、それでも内容を覚えているずば抜けたインパクト。
でも次からは翻訳の続きものを読むときは続刊情報ちゃんと確認しよう……。
壮大で大変熱い物語でした、ちょっと長いですが読む価値大有りだと思います。
さて、スーパーカブの最新刊買ってきてるんですよね。今月は読みたい本ぎっしりだなあ。頑張って読みます。