はい、予告どおり頑張って象られた力読みました。
これって中篇集だったんですね。知らずに読みましたがとても面白かったです。
まずは最初の「デュオ」ですが、なかなかにおぞましい作品でした。グラフェナウアーズこわい。何故か3月のライオンの滑川さんの顔で脳内再生される……(ますます怖くしてどうする)。
匂いの表現がすごく不気味で、ハラハラしながら、ゾクゾクしながら読みました。この作品集の中ではいちばんわかりやすかったです。
最初のモノローグがだれのものかわかったときの驚きもなかなかでした。
つぎに「呪界のほとり」ですけど、こちらはカッコイイSFでした。ファフナー可愛いなあ。ファンタジーな印象でしたががつんとSFで、なかなか濃いめの味付けでした。この作品集でいちばん好きなやつです。
しかしわたくしの悪癖なのですが好きな作品は夢中になって読むあまり内容をきちんと覚えていないという大惨事でして、とりあえずファフナーが可愛かったのと宇宙と砂漠が舞台というくらいしか……万丈さん、名前がカッコイイ。
「夜と泥の」も、これまた地味にゾワゾワくる内容でした。感覚を拡張する、五感で感じられないものは感じられない、みたいな細かいようで柱になっている要素がよかったです。感覚を拡張するというのは自作にも(ラノベ作家志望なので……)たまに入れる設定なのですが、それで「感じられないものを作り出して感じる」というのは怖いなあと思いました。あとカニうまそう。カニというと最近は錆ビスのアクタガワなのですが、昔はモンハンのダイミョウザザミとかショウグンギザミだったなあ、懐かしい。
表題作の「象られた力」は、どこか零號琴に似た印象を受けました。そりゃ書いてる人が同じだからな(身もふたもない)。
ちょっと難解でしたが、わたしのポンコツ頭でもタイトルの意味をはっきり理解できるのは嬉しかったです。
登場人物が魅力的で、錦さんのセクシーさが印象に残りました。あとモチーフがよい。零號琴のような「古来から伝わるものをテクノロジーにする、あるいは古来から伝わるテクノロジー」という基礎が良かったです。
「夜と泥の」と世界観が繋がってるのも嬉しかったです。
改めて飛浩隆の本はすごいなと思いました。
いまの世の中ってなにかのジェネリックみたいな、消費されるだけの本がバンバン出るじゃないですか。特にライトノベル。
「象られた力」はちょっと前の本だしライトノベルではないSFですけど、オンリーワンであることの重要性を改めて感じました。ジェネリックじゃあかんのです。
飛浩隆はあまりたくさん本が出ていないのですが、これから本が出たら読みたい作家リストに加えようと思います。
あと、テレビで歌会始を観て色々考えたこともあるのでその辺もまとまり次第後々。
次は何を読もうかなあ。来週も更新したいなあ。